ペンギン☆ブラザーズ

(椎名あゆみ/集英社りぼんマスコットコミックス・全5巻)

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Story

転校人生を繰り返す三嶋陽菜(ひな)が訪れた8回目の転校先は、私立のマンモス校・常磐学園高等部。
その学校は私服校のはずだが、ひなが学校に行ってみると、そこには黒の制服を着た一群と、白の制服を着た一群に分かれ、敵対していたのだった。
どちらの軍勢に突くことも拒否し、私服を貫く少数派「グレイ」になると宣言したひなは、さっそく白、黒両サイドからの手荒な歓迎を受けることになる。

Impression

コミックス1巻のカバーを見ると、「ショートカットの女の子が主人公のありきたりな元気系学園コメディ?」という感じですが(余談ですけどね、最初にカバー見た時は4人とも男のコだと思ってましたよ。タイトルに「ブラザーズ」ってあるし・・・・。もちろん女のコが主人公の方が好きなんでいい意味で裏切られたんだけど)、実はど真ん中直球100マイル!といった感じの、ストレートな学園ストーリー。問題に真正面から立ち向かうひなちゃんの、そのどまんなかっぷりがよくて、予想はいいほうに裏切られました。
いじめや対立というシリアスなテーマなんですが、コメディに走らずどかんと立ち向かうひなちゃんのキャラクターが圧倒的で、とにかく引き込まれますね。強い女の子、うん、好きです。
とにかくひなちゃんから伝わってくる強いメッセージは、とても熱いのに、どこか清涼飲料水のようなさわやかさがあって、心を潤してくれます。元気はつらつなムードがそうさせるんでしょうね。そんなひなちゃんとの出会いが嬉しくなる一冊です。

Hina Mishima

またかと言われても書くぞ!
黒髪ショートカット元気系!
な陽菜ちゃんです。・・・元気系というより粗暴系に果てしなく近いような気がしますが。
なんせ口より先に手が、手より先に足が出る。かかと落としも出る。金的も出る。そしてその健康的なキックにボクのハートはノックアウトされてしまうのさ〜・・・。めろめろ。
髪型や行動もそうですが、堂々とした態度とまっすぐなポリシー、きりっとした眉とちょっと不適な感じにつり上がった口許がりりしくて、ボーイッシュな魅力を感じますね。
それでいておっきくてきらきらの瞳と豊かな表情はまぎれもなく女の子のもの。
そして何より彼女の魅力は体制にこびず、変なものは変、といえる強さ。
思わずついていきたくなるような、素敵な女の子で惚れちゃいます。

Charactors

1巻発売時点で出てくる女の子はふたり。
保護欲そそりまくり!という感じで、涙が似合う華奢さが魅力の流羽ちゃん、いかにもちょっと我の強いお嬢様、という感じで、華やかなムードが魅力の白雪さん。男性読者にアピールするのは、陽菜ちゃんよりむしろこっちかも(汗)。
もひとり。哲太くん。なんか妙にかわいい系キャラって感じがするのは気のせいでしょうか。キャラクターが軽いので惹かれるというほどじゃないですけど、陽菜ちゃん並みに眼がおっきいし、なんか妙にきらきらしてるし。要注目キャラかも。何を?

Guide

キャラクター要素のとても強い作品なので、陽菜ちゃんにどこまで思い入れできるかが勝負の別れ道。こういうキャラクターが苦手な人は少ないのでは、という気がしますが、おしとやかなタイプや守ってあげたいタイプが好きな人は敬遠したほうが無難かも。
絵柄的にはりぼん伝統のすっきり輪郭・眼が縦におっきい系なので、ややくどいというか甘い印象はありますね。画面効果と、はきはきしたキャラクターで、あまり絵的な辛さは感じないかと思いますが、ある程度少女マンガ読んだ人向けの画面かな、と。
テーマのわりには重くなく、メッセージ性の強い作品にしてはくどくなく、はまりやすい作品だと思います。

2000.12