(椎名あゆみ/集英社りぼんマスコットコミックス・全5巻)
転校人生を繰り返す三嶋陽菜(ひな)が訪れた8回目の転校先は、私立のマンモス校・常磐学園高等部。
その学校は私服校のはずだが、ひなが学校に行ってみると、そこには黒の制服を着た一群と、白の制服を着た一群に分かれ、敵対していたのだった。
どちらの軍勢に突くことも拒否し、私服を貫く少数派「グレイ」になると宣言したひなは、さっそく白、黒両サイドからの手荒な歓迎を受けることになる。
主人公・陽菜のキャラクターによる力が大きい作品ですね。
学園内の対立、いじめといったテーマをギャグのネタにせず、主人公が立ち向かうべき壁として設定している上に、コメディ要素も少ないんですが、陽菜の前向きで力強いキャラクターに引きずられる感じで、陽性の雰囲気を持った、どこか引き込まれる作品になっています。
また、対象年齢をティーンエイジャーにがっちり絞って、メッセージ性を押し出しているのもこの作品の特徴。「いがみ合うのも誰かに従うのもイヤだしね」「あたしは自分がまちがってないと思うことから逃げたりしない」といった、大ゴマ正面構図で陽菜がいうセリフを際立たせるために進めているようにも感じられるストーリー運びが効いて、教条的でない、心にスッと入ってくるようなメッセージ性が感じられます。
ストレートなストーリーですが、少女マンガには珍しい、力強いムードがあります。
2000.12