(車田正美/集英社ジャンプコミックスデラックス・全26巻)
伝説の世界チャンピオン・剣崎順を父に持つ少年、剣崎麟童は厳格な家を飛び出し、父譲りのボクシングの才能を、ストリートファイトで浪費していた。
その頃、順のかつての僚友であり、麟童の育ての親・香取石松の許に、欧州Jr.チャンピオン、ザナドゥ・スコルピオンが訪れる。強大なスコルピオンの力を目の当たりにした麟童は父を超えるべく、ボクシンググラブを手にするのだった。
タイトル見たまんま。
往年の拳闘マンガのリバイバル作品です。
こーゆー作品なので、「リングにかけろ」を未読の方にはちんぷんかんぷんの部分が多く、今まで紹介せずにいたんですが。
・・・面白いんだからしょーがない。次が気になってしまうんだからしょーがない。なんだかんだ言いつつ12巻まできちんと買って読んでるんだからしょーがない。
紹介しちゃいます。
剣崎麟童、志那虎伊織、河井響、影道蘭、ザナドゥ・スコルピオンといったなつかしヒーローの二世たちの活躍と、ギャラクティカ・マグナムに代表されるこれまたなつかしのスーパーブローの炸裂がなんといっても楽しいポイントなんですが、それを支えるのはストーリー運びのイージーさ。
キャラクターはみ〜んな「リンかけ」とつながりのあるキャラばかり、敵も影道、ドイツJr.、イタリアJr.・・・と、「リンかけ」で竜児や剣崎が拳を交えた相手のリバイバルばかり。意表性全くゼロ、中国Jr.やエチオピアJr.なんてーのが出てくる心配はまったくありません。味付けもドイツなら鉤十字、イタリアならシシリアマフィア、フランスなら薔薇迷宮と実にイージー。
ストーリーのほうも敵が現れて、それをギャラクティカで倒して、そーするとまた強い敵が現れて・・・という工夫がないにも程があるストレート&イージーさ。安直なのもたいがいにせーよと、作者にジェットアッパーをたたき込みたくなるようなイージーさなのです。
それだけに、一度読み出すと止まらない。ややこしいことに囚われることなく、20年前の気持ちに戻って、アドレナリンを分泌させながら素直に盛り上がれる作品なのです。
三条一菜ちゃんとか、女性キャラも出てくるには出てくるんですが、だからどーしたということもないので、男性キャラ陣の紹介へ突入します。
本編の主人公が「リングにかけろ」の主人公・高嶺竜児の甥にして、その好敵手・剣崎順の忘れ形見、剣崎麟童。堅苦しい剣崎家の雰囲気を嫌い、香取石松の家に転がり込んでいます。そのせいか、パーフェクト・ヒーローだった竜児・剣崎と違い、時に三枚目的な役割も。あるいは時代がパーフェクト・ヒーローを求めていない、ということなんですかね。
他にも日本Jr.のジュニア世代(ややこしいな)が登場。
志那虎ジュニアの伊織はいかついあの親父からどーやったらこの息子が生まれるのか、出自を疑ってしまう美形キャラとして登場。いやー、遺伝子って不思議です。でも、楽しいくらいのカタブツっぷりは父親譲りなのですね。
病弱ピアニスト・河井響は女性ファンのしっかりと鷲掴み・・・なのかな!? 幼い頃から心臓に欠陥があり、「16歳の誕生日までは生きられない」と言われていたという・・・そのへんが萌えますね(爆)。
河井武士の繊細さをパワーアップしたら病弱になっちゃいましたって感じで、リングにもワイシャツ姿で登場。ボクシングマンガの王道からすればどーにもけったいなキャラではありますが、そこが個性になっていて、爽やかさすら感じられるキャラクターです。
「リングにかけろ」の読者をターゲットとしたキャラクターメイクをしているので、やはりその頃からの読者の方が楽しめるでしょうが、ストーリー自体はとても分かりやすいので、新規読者が読んでも戸惑うことは少ないと思います。
スーパーブローが炸裂し、食らった人間は建物の屋根を突き破ってしまう!(しかもその後しっかり生きてるし・・・)みたいなノリがあるので、マトモなボクシングマンガとして読むと呆れること確実。いわば魔球ものの野球マンガみたいなもので、熱血エンターテインメントとしてお楽しみください。
2004.3