ラバーズ7

(犬上すくね/小学館サンデーGXコミックス・全7巻)

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Story

「すべての揉め事はボールとラケットで解決する」、ヤクザ・東ノ本宗則が経営するコンビニ「ラバーズ7」では、揉め事を起こしたものは宗則に卓球勝負を挑まれるのが掟。アルバイトの森岡ひろみもこの店で万引したところを見つかり、卓球勝負に敗れて、破格に安いバイト料で使われているのだった。
そして卓球場に新たな犠牲者がやって来る。万引を見つかった、無口な少女・なつき。
その相手は宗則に指名されたひろみ。勝てば自由をかち得るひろみと、負ければ「肉奴隷として」働かされるなつき。万引少年と万引少女の、明日を賭けた卓球勝負が始まる。

Impression

ちっちゃくて、人見知りで、ちょっと勝ち気で。そんな仔猫系ヒロイン・なつきちゃんの魅力炸裂のラブコメディです。
抱けば折れそうなショートカット女子高生・なつきちゃんに惚れたのはふたりの男。
なつきちゃんの高校と「ラバーズ7」のバイトの先輩で、ひきしまったお尻がチャームポイントの森岡ひろみ・16歳と、「ラバーズ7」のオーナーにして、ひろみちゃんのお母さんと以前知り合いだった東ノ本宗則・32歳。
倍も齢の離れたふたりが、15歳の女のコに夢中になってあくせくする、そんな姿が微笑ましくも、傍観者的にはなんとも楽しいんですね。
なつきちゃんの心をうまく読み取れなくて、近づきたくても近づけないもどかしさにじりじりするひろみを見てると、「あー、そうそう、人を好きになるときって、こーだよねー」と心が十代に戻ってわくわくしてしまいすし、親子ほども歳の離れたなつきちゃんの心をどうやったら開くことが出来るかと焦る宗則を見てると、「あー、こんな恋したいよなー」と、三十代のピュアソウルが夜空に雄叫びを上げてしまいます。
そこに絡むのが、物語の鍵を握る三十代、スーちゃんとしえ姐のハイテンションコンビ。このふたりのおかげで、ストーリーはどろどろとした三角関係ではなく、横浜の空の下、日溜まりの風景に似合うポップな青春ストーリーになっています。
「ラバーズ7」に集まる個性的な人々とのふれあいで少しずつ頑さを溶かしていくヒロイン・なつきちゃんと、それぞれの登場人物の思惑、なつきちゃんの過去に秘められたドラマ、それぞれが微妙にクロスして作られていくまったりしてるのにどこか緊張感のある雰囲気にぐいぐいと引っ張られてしまう、その感じも絶妙。
賑やかなのに、緊張感あるのに、まったりしてて、落ち着ける、そんな相反した要素がしっかりページの上で融合してるのです。

Natsuki Soeno

ショートカットちみっちゃ女子高生・なつきちゃんが本編のヒロイン。
ぐはっ!
と血を吐くくらいかわいーですねー。セーラー服サイコー、ナマ脚サイコー! やっぱり女子高生はいーですねー。
無口で頑な感じの女のコなんですが、それに徹しきれないというか、ちょっとした時に見せる仄かな笑顔や戸惑いの表情が無表情の中に挿まれていて、そんなとき、「あ、このコってかわいなー」と気づかされるんですよねー。
組長やスーちゃんには徐々に心を開いていっても、ひろみにはなかなか心を開かなかったり、そーゆーところが何色にも染まらないまっしろな女のコの純粋さを窺わせてくれる、ときめき度の高いヒロインです。

Charactors

本編の主人公・森岡ひろみ少年については語ることが何もないのでテキトーに放置することにしまして、まずはひろみの恋敵、コンビニ「ラバーズ7」のオーナーにして、ヤクザ・東ノ本組二代目、東ノ本宗則を紹介。
まぁ、印象としてはヤクザの二代目とゆーよりは、腹黒い青年実業家?って感じですかね。「すべての揉め事はボールとラケットで解決する」という異様な卓球バカなんですが、スポーツマン的な明快さは一切なし。腹黒そうに見えて、なつきちゃんのハートを掴めずに凹んだりするあたりはなんとも純情で、三十代的にはなかなか応援したくなるキャラクターです。
「ラバーズ7」の狂言回しと言えるのがスーちゃん。本名、須賀淳也。職業、オカマ。
宗則をダーリンと言って追いかけ回し、ひろみの尻に欲情し、なつきちゃんをライバル視。テンション低いキャラクターが揃うこの作品の中で、ストーリーを動かす、いいエンジンになってますね。
もうひとりのひっかき回し役が宗則の姉、しえ姐御。弟の凹んだ顔を見るのが好きという、なんとも屈折したお姉さん。時折頭から生える二本のツノが、いかにも邪悪でいいですね。

Guide

ムードというか総合力で勝負するタイプのマンガで、ここが読みどころ!というポイントはないんですが、基本はキャラクターコメディですね。軽コメディとして楽しみつつ、なつきちゃんを愛でる方向で読みましょう。
ヤクザが出て来て、「色っぺー姉ちゃん、ヒーヒー言わす」とか「肉奴隷」とかの単語も出て来ますが、アダルトな方向にはハナシが進みませんので、そっち方面の期待はしないよーに。

2004.3