咲 -saki-

(小林立/スクウェア・エニックス ヤングガンガンコミックス・1〜16巻)

ノーマルモードへ

Story

麻雀が実力を左右する時代。
清澄高校1年生の宮永咲は、クラスメートの京太郎に誘われるままに、麻雀部の扉を叩く。
中学チャンピオン・原村和を敵に回し、竹井部長から難題を課されつつも、すべての対局をプラスマイナスゼロの成績で終え、その天才をまざまざとみせつける咲。
一度は「麻雀が嫌い」と言った咲だが、ライバルとの出会い、そしてはるか嶺上の存在である姉・照への意識が、咲の運命を変え、さらなる強豪との対戦に導く……!

Impression

行きつけの書店の平台で、以前から気になっていたこの作品。
「……でもなぁ。麻雀マンガかぁ……。美少女麻雀マンガなんてキワモノくさいし、麻雀なんて20年近くやってないから楽しめそうにないなぁ……」
と見送っていたのですが、カバーから漂うオーラに負け、ついに購入。
……正解でした。
とにかく麻雀シーンが迫力満点。スピーディーでけれん味たっぷり、コマ割りの妙もあって、登場人物の一挙手一投足に、ぞくぞくしながら見入ってしまいます。
ご都合主義的と割りきってしまう人は割り切ってしまえる展開でありながら、なおかつ鳥肌が立ってしまう展開の妙も抜群。むしろ、作者の術中にハマってしまう快感が味わえます。
それは麻雀というゲームその物よりも、キャラ立ち抜群の少女たちが個性と個性をぶつかり合わせることに主眼を置いてストーリーが組み立てられていることからくるカタルシス。
多彩な女のコたちの個性に萌え萌えしながら、勝負の行方にぞくぞく出来る、満腹感抜群、ぎっちり中身の詰まった良作です。

Saki Miyanaga

セーラー服がよく似合う、黒髪ショートカットの純朴少女、それが本編のヒロイン・宮永咲ちゃん。
おとなしげでちょっと個性薄めな文学少女、というのが冒頭の印象なんですが。
牌を握れば一気に豹変。類まれな才能と運のよさで卓上を支配してしまいます。
いきなり見せるはどんな展開でも測ったようにプラマイゼロで和了ってしまう、卓上の精密機械ぶり。
本領を発揮すれば悪魔的な引きの強さで場を翻弄する天才ぶり。
勝負を楽しむ純情さと裏腹に、猛禽のような視線で勝負をもぎとる勝負師の顔を併せ持つ、そんなところが咲ちゃんの魅力ですね。

Charactor

ヒロイン・咲ちゃんが霞んでしまうほど(実際、咲ちゃんがほとんど出て来ない回もありますしね〜)、個性豊かな面子が勢ぞろいしてるのもこの作品の魅力。
まず紹介すべきはやはり、ツインテール天才巨乳美少女雀士・原村和ちゃんでしょう!
天使のルックスに不屈のプライドを持った天才少女。あくまでサブヒロイン、咲ちゃんのもっとも身近な好敵手という位置づけですが、華のあるルックスと、個性派揃いの中で比較的ニュートラルな性格が相まって、シンクロしやすい、そして萌えやすい女のコですね。表情の変化が少ないクールな美少女でありながら、寝るときにはペンギンのぬいぐるみが手離せない、そんな部分にも萌えてしまいます。
東場でこそ力を発揮、速攻オンリー、競馬でたとえるなら逃げ馬タイプのハイテンション少女がタコス少女・片岡優希ちゃん。
ツインテ八重歯お子さま体型に「〜じょ」という語尾、さらにタコス大好きと、これでもかというくらい個性付けされていて、い〜い感じに目立ってますね。咲ちゃん、和ちゃんとともに1年生トリオを形成していますが、他のふたりがクールなタイプだけに、ゆーきちゃんの明るさには心が和みますね〜。
他校のライバルにも個性派が揃います。
一応当サイトでは2巻以降に登場するキャラは紹介しないことにしているんですが、全然書かないのはもったいないからちょっとだけ。
風越女子の福路美穂子ちゃんは癒し系のお姉さん。彼女をヒロインに百合SSや百合コミックを書いてみたいと思ったヒト手を挙げて! ハイ!
ろり萌え度で麻雀界を席巻するのが龍門渕高校の天江衣ちゃん。
しかし龍門渕で私の一番のお気に入りはもちろん、黒髪ポニテスレンダーボクっ娘メイドコス+フェイスペイント+拘束具付きの国広一ちゃん。ちょい役がこれだけのスペックを持っている、それがこの作品の萌えポテンシャルの凄さですね〜。

Guide

麻雀マンガだけに、やはり麻雀のルールが分かるのが前提条件になってしまいますね。
展開にしてもキャラクターメイクにしても薄っぺらい所がある作品なので、そのキッチュさを積極的に楽しめるかどうかが分岐点。
ポテチでもつまみつつ、気楽に萌え萌えしつつ麻雀バトルを楽しむ。そんな楽しみ方が合いそうです。

2008.1