(小林立/スクウェア・エニックス ヤングガンガンコミックス・1〜16巻)
麻雀が実力を左右する時代。
清澄高校1年生の宮永咲は、クラスメートの京太郎に誘われるままに、麻雀部の扉を叩く。
中学チャンピオン・原村和を敵に回し、竹井部長から難題を課されつつも、すべての対局をプラスマイナスゼロの成績で終え、その天才をまざまざとみせつける咲。
一度は「麻雀が嫌い」と言った咲だが、ライバルとの出会い、そしてはるか嶺上の存在である姉・照への意識が、咲の運命を変え、さらなる強豪との対戦に導く……!
最近はさまざまなジャンルで「萌え」をコンセプトにした作品がリリースされていますが、これは麻雀をテーマにした萌え系のコミック。
このテの作品は常に一歩間違えばキワモノで終わりかねない危険性を孕んでいるわけですが、作者はあくまで麻雀マンガとしての展開を前面に出し、正統派の流れを演出することでこの作品を迫力ある好作にしています。
しかし麻雀を知らない読者がいることを意識してか、展開のスピーディーさを指向している分、ご都合主義的な部分も散見されますが、そこを記号をにふんだんに使用した、萌え要素たっぷりのキャラクターが緩和。一種の「ファンタジー」として作品が成立しており、ゲームのリアルさよりも、キャラクターの個性のぶつかり合いに主眼が移されているため、展開の甘さが瑕にならず、むしろとっつきやすさにつながっているのが興味深く感じられます。
2008.1