少女少年

(やぶうち優/小学館てんとう虫コミックススペシャル・全8集)

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第T集

story

水城晶、小学6年生。男子。
ひょんなことから芸能界デビューすることに。
美少女アイドル・白川みずきとして。
あこがれのアイドル・青野るり、ライバル・黒木紗夜香、同級生・赤沢智恵子の3人が絡み、「みずき」の周辺は大混乱のトラブル・スクエア。
果たして晶は正体を守り抜き、芸能界を泳ぎ切れるのか?
やぶうち優さんのハイテンション・アイドルコミック。

impression

とにかく豪華版です、この本。
いきなりカラーでイメージイラストが13連発!(連載時の表紙だったのかな?)
るり、智恵子、紗夜香、みずきとやぶうちさんの描くかわいい女のコが4連発!
巻末にはドラマを意識したハイテンションな予告編までついて、こりゃあ買わなきゃ損ですぜ、ダンナ。
アイドルストーリーというのはありがちながら、変にサイドストーリーに走ったり、お色気でごまかしたりということもなく、あくまでストレート、健康路線。変なひねりもなく、その分アップテンポな展開を素直に追いかけられますし、3人の女のコvsみずき(晶)のシチュエーションに次から次へとバリエーションが加えられて、楽しめます。
これはもう「買い」でしょう。
11、12の子どもたちだけの読み物にしておくのは、もったいなさすぎるぞ。

第U集

story

星河一葵はある日、街角でスカウトされ、オーディションに出ることに。
スカウトの村崎は「共演する大物女優・大空遥にそっくり」と一葵を持ち上げるが、それもそのはず、一葵は遥の隠し子だったのだ。
オーディションには落ちた一葵だが、母親に近づくため、女として芸能界で生きていくことに。
そしてなんと芸能系の学校に編入することになってしまい・・・

impression

あいかわらずアップテンポ。第一部よりさらにテンションがあがってるような感じです。正直、二部、三部と進むにつれてテンションが下がる作品が多い中、期待を裏切らない展開はうれしいですね。
第一部の主人公・みずきは芸能界では女、学校では男として暮らしていたんですが、今度のかずきは学校でも女のコ。おまけに小学校だけど制服があって、その制服姿が男にしとくのはもったいないほどかわいいのだ。かずきの場合はショートカットなので、(自毛なのね)文脈的にはむちゃくちゃな表現になっちゃうけど、ボーイッシュな魅力、ってのがあって良いのです。中性的なコって結構好みなのさ。
第一部同様、カラーページも充実。かずきの魅力ににゃう〜んとなってからストーリーには入れますねぇ。

第V集

story

女顔を兄たちのいたずらの標的にされ、そこから逃れたい一心でオーディションに応募、みごと合格した柚季。しかし、それは兄たちのいたずらのせいで、「女のコユニット」の一員としての合格だった。故郷・丸亀を捨て、憧れの地・東京で「Girlish」のメンバーとして光を放ちはじめる柚季。しかし、順調に見えた「Girlish」の中にも柚季を巡り波風が・・・

impression

ショートカットなゆずきちゃんがいいですねー。なんか最初はしっかり男のコしてるのが、後半だんだんかぁいらしい女のコになってく、それがいやはやなんともかんとも(笑)。
ストーリー展開も東京と瀬戸内、ふたつの舞台を行き来しつつ、絶えず読者の興味をそらさないハプニングを用意していて、とにかく一度ページをめくり出したらとまらない感じに仕上がっていて、その辺が実においしー感じがしますね。
この本、章題に「遠く遠く」「君に会いに行く」「どんなときも」など、槇原敬之さんの曲タイトルが使われてるんですが、そういうつもりで見てると、柚季が槇原さんの曲に出てくる、「ちょっと情けなくてニュートラルな男」のイメージにだぶったりして。

第W集

story

「世の中女の方が得!」と女装を楽しむ小学生・白原允は、ある日街でスカウトされあれよあれよと少女タレント「白鳥つぐみ」として芸能界デビュー。初仕事は同級生のタレント・逢見藍沙とのCM撮影だった。
男っぽい親友の雪火、あっけらかんとした允(つぐみ)、引っ込み思案の藍沙、三人は微妙な思いを互いに抱いたまま、思春期に入っていく。

impression

来たぁ〜っ!めっちゃ萌え〜っ♪
まぁ、もともとやぶうち作品はあのぷにのビッグウェーブみたいな絵柄が好きで、いわば萌え目あてで買っているんですが、その中でもこの本は超弩級のインパクトでびぜんやのハートをかっさらってくれました。
まずなんといっても、カバーのつぐみちゃんの、ふりむきざまの投げキッスに瞬間萌死。本文中もつぐみちゃんの表情、ポーズ、コスチュームに何度時間が経つのを忘れて魅入ってしまったことか。この点だけを見ても、この本がシリーズ最高傑作、というに値するでしょう。
さらに、男バージョンの允(これがまたむっちゃかわいいのだ)とその親友・雪火のそれぞれの男のコっぽさが、男性読者をうまく作品に入り込ませる感じでいいですし、内気な美少女・藍沙ちゃんもまた、保護欲刺激しながら胸ときめかせてくれる感じで最高。
ストーリーも右肩上がりに盛り上がっていく感じでひねりはなくとも十分わくわくさせられますし、まさに絵柄、キャラクター、ストーリーが三位一体となって読み手を捉えて離さない萌えのトライアングルを形成。
これはもう、特推印の一冊です。

guide

もともと学年誌連載で読者が限られているせいで発行部数が少ないんでしょうか、他のやぶうち作品と較べても、店頭で見かけることが少ない作品です。大書店やコミック専門店を丹念に回るか、ワタシのようにネット通販で入手されることをおすすめします。
一応「てんとう虫コミックス」のレーベルになっていますが、普通の少女マンガのような体裁ですので、「少女マンガひとりで買えるもん」の人なら抵抗なく買えるはず。
あとは帰ったら一気読み。比較的小さめのコマ割りなので、ページ数の割りには読みごたえがありますが、読みやすい作品なのでするすると読み終えられるはず。
あとはアイドルの写真集でも眺めるように、カラーページを楽しみましょう。やぶうちワールドに引き込まれてしまいますよ。

1999.3
1999.5
2001.6