(やぶうち優/小学館てんとう虫コミックススペシャル・全8集)
水城晶、小学6年生。男子。
ひょんなことから芸能界デビューすることに。
美少女アイドル・白川みずきとして。
あこがれのアイドル・青野るり、ライバル・黒木紗夜香、同級生・赤沢智恵子の3人が絡み、「みずき」の周辺は大混乱のトラブル・スクエア。
果たして晶は正体を守り抜き、芸能界を泳ぎ切れるのか?
やぶうち優さんのハイテンション・アイドルコミック。
「小学六年生」誌で連載されていた作品です。読者が限定される、ページが少ないというネガティブになりかねない要素がある学年誌連載ですが、この作品は巧くまとめあげていますし、ある程度年長の人が読んでも十分に「読める」内容だと思います。
やぶうちさんの作品は、ぽわわんとした絵柄の割りにテンションが高く、そのぶん読後の「こってり感」が強いんですが、ページ数の少なさがそのこってり感を軽くし、逆にリズム感のある作品に仕上がっています。
3人の女の子が出て来て晶とトラブルスクエアを形作る人間関係なんですが、読者が小学六年生に限定されるためか、恋愛色が薄く(もともと恋愛色の薄い作家さんではありますが)、「みずき(晶)の正体がばれるかばれないか」という部分をメインに出して来ているのも、展開をスリリングにし、冗漫感をなくすポイントになっています。
星河一葵はある日、街角でスカウトされ、オーディションに出ることに。
スカウトの村崎は「共演する大物女優・大空遥にそっくり」と一葵を持ち上げるが、それもそのはず、一葵は遥の隠し子だったのだ。
オーディションには落ちた一葵だが、母親に近づくため、女として芸能界で生きていくことに。
そしてなんと芸能系の学校に編入することになってしまい・・・
第一部のみずきが歌手だったのに対し、今回のかずきは女優として芸能界入り。また、今回はかずきと遥の母子関係をメインに据えたことで、基本的な人物は位置は同じながら、印象の大きく違う話になっています。
第一部の長所だったリズム感の良さは今回も残っており、いい方向にテンションも高まっています。一度描いたテーマを作者がうまくこなしており、さらに深く描きこんでいる、そんな感じがします。
明るく前向きなムードが漂っていて、読んで明るい気分になれる作品だと思います。
女顔を兄たちのいたずらの標的にされ、そこから逃れたい一心でオーディションに応募、みごと合格した柚季。しかし、それは兄たちのいたずらのせいで、「女のコユニット」の一員としての合格だった。故郷・丸亀を捨て、憧れの地・東京で「Girlish」のメンバーとして光を放ちはじめる柚季。しかし、順調に見えた「Girlish」の中にも柚季を巡り波風が・・・
第V集はちょっとトーンを落とし気味かな、という感じがありますね。じっくりと構成に凝って、読ませることを意識した感じがあります。学年誌連載と言うよりは、正統派の少女マンガという趣がありますね。
今回は三人の女の子ユニットという新趣向。さらに柚季の故郷・瀬戸内をもうひとつの舞台とすることによって、話にアクセントをつけています。
「Girlish」のアヤカ、ユリ、丸亀のちよ子と、今回は3人の女のコが主人公を取り巻くわけですが、その一方で主人公の柚季はどうも地味な感じ。この作品では女のコたちが(最終的には柚季も)自分の気持ちを見つける、ということがテーマになっており、柚季は彼女らの心を映す鏡のような役割を負っているように見えます。
「世の中女の方が得!」と女装を楽しむ小学生・白原允は、ある日街でスカウトされあれよあれよと少女タレント「白鳥つぐみ」として芸能界デビュー。初仕事は同級生のタレント・逢見藍沙とのCM撮影だった。
男っぽい親友の雪火、あっけらかんとした允(つぐみ)、引っ込み思案の藍沙、三人は微妙な思いを互いに抱いたまま、思春期に入っていく。
原点回帰、とでもいうべきでしょうか。すっかり人気シリーズとなった「少女少年」の第4弾は、あっけらかんとした主人公・允を配して、全体に明るいムードになっています。ストーリーもシンプルな感じになっていますね。しかし平版なストーリーということはなく、最後はきっちり盛り上がりを見せてくれ、やぶうちさんの手慣れた作品作りを楽しむことが出来ます。
今回は允と藍沙が早い段階から接近して、少女向けのアップテンポラブコメのようなムードがあります。なんとなく「花とゆめ」誌あたりに似合いそうな感じがしますね。「ネバキバ!」「花ざかりの君たちへ」の男女逆版という感じで。
ラストまで明るさを失わないのも高ポイント。最初から最後まで、かなり楽しめた作品です。
1999.3
1999.5
2001.6