(吉住渉/集英社りぼんマスコットコミックス・全5巻)
立石亜由は、大人っぽい雰囲気で女子からも人気のある、「秀英中のクールビューティー」。その素顔は野球部のホープ・架地哲士に片思いする普通の女の子。
佐倉仁菜は魔法中学で落ちこぼれ、留学して来たドジな魔女っ子。
そんなふたりが出会った事から、亜由が仁菜に振り回される、スラップスティックな日常が始まってしまう。
リアルでクールな恋愛を得意とする吉住渉さんが送り出す、コメディファンタジー。
どこか男ゴゴロをそそるよーなタイトルではありませんか。
うーむ、ウルトラかつマニアック。マニアックな少女がウルトラな感じであーんなことやこーんなことを・・・などとマニアックな邪心をそそられるようなタイトルではありませんか。このHP、忘れた頃にマニアックな萌えマンガを紹介するという前歴がありますし・・・
しかし実のところ、この作品、そんなマニアックなディテールはなし。
お茶目な魔女っ子・仁菜と、クールな亜由のとぼけたやりとりを楽しむ、正統派ドジ魔女マンガなのです。
テンション高いシチュエーションを、クールな恋愛ドラマを得意とする吉住渉さんが持ち味を生かして料理。ハイテンションな仁菜と、冷めた亜由のテンポのいいかけあいを軸に、魔法にまつわるドタバタコメディーと、落ち着いた恋愛ドラマを両輪にして読者を連れ去る感じの、読みどころいっぱいのコメディになっています。
うぐぅ。
・・・・・・。
・・・気にしないでください。
本編のメインヒロインは、立石亜由ちゃん。長い黒髪、スリムなボディ、クールな瞳の三点セットが輝く、吉住作品らしいクールなヒロインです。
ちなみにキャラクター的にもクールなヒロイン、架地くんに想いを寄せる純情中学生、仁菜に対するツッコミ役と三役を使いこなし、多彩な表情もまた魅力なのです。
もうひとりのヒロイン、佐倉仁菜ちゃんは魔女っ子コメディには欠かせない、ヘタレ魔法少女。
さらさらの髪と、きらきら輝く髪がほんと、キュートですね。どちらかというと大人っぽいキャラクターが揃っている中で、いかにも「りぼん」〜ってな感じがあって、いーのです。無邪気な妹、みたいな愛らしさがありますね。
ちょっと魔法をかけそこなっても「エヘ」のひと笑いで済ませてしまう、その脳天気ぶりも「いかにも」な感じで○。
一生懸命やればやるほど空回りして、亜由に迷惑かけてしまうあたりもツボ。
い〜味出してる、おいし〜いヒロインです。
年少読者向けの読みやすいコメディ。ただ、吉住さんの作品を続けて読んでいる方や、少女マンガに「深み」みたいなものを求める方には、物足りない印象があるかもしれません。
素直にノリで楽しみたい作品ですね。
2002.10