（吉住渉／集英社りぼんマスコットコミックス・全５巻）
立石亜由は、大人っぽい雰囲気で女子からも人気のある、「秀英中のクールビューティー」。その素顔は野球部のホープ・架地哲士に片思いする普通の女の子。
佐倉仁菜は魔法中学で落ちこぼれ、留学して来たドジな魔女っ子。
そんなふたりが出会った事から、亜由が仁菜に振り回される、スラップスティックな日常が始まってしまう。
リアルでクールな恋愛を得意とする吉住渉さんが送り出す、コメディファンタジー。
名作「ときめきトゥナイト」や「姫ちゃんのリボン」を持ち出すまでもなく、「りぼん」の看板を支え続けたのが、魔女っ子コメディの傑作。
この作品もその系譜に続くことを意識して描かれていますが、作者はニューポップ系の恋愛作品を得意とする吉住渉さんということで、あっけらかんとした明るさというよりは、読者を傍観者の立場にとどめておこうとするような組み立て方で、やや高い年齢層の要望にも応えられる、(魔女コメ＋ラブコメ)／２、といった感じの作品になっています。
コメディ要素としては亜由と仁菜の凸凹コンビというか、ボケ・ツッコミの関西系漫才コンビというかのオーソドックスなパワーバランスを軸にしており、このへんはなじみやすく、笑いやすい感じでポイントを抑えています。全体的にはっちゃけ感は少なく、吉住カラーが濃いんですが、それでいてしっかりコメディしている、独特な持ち味を持った作品です。
２００２．１０