(武田日向/角川書店ドラゴンコミックス・全3巻)
本草やえかは「すずの動物病院」で実習中の獣医のタマゴ。もちろん動物大好き。
動物が好きな気持ちが暴走して時折失敗もするけれど、同僚のせなちゃんや鈴乃先生に支えられながら、一人前の獣医になるべく奮闘中だ。
多彩なキャラクターを交えながらやえかの日々の奮闘をつづる、ハートウォーミング・ショートストーリー。
ろりぷに系キャラクターと小動物が好きな私としてはこの作品は外せません。ろりぷに系獣医さんコミック、「やえかのカルテ」。んもう、萌え萌えです。
しかし、かわいい系ハートウォーミングコミックが目白押しの昨今、かわいいだけの理由でこの場で紹介するわけではありません。
この作品の個性と言えるのはなんといってもひとつひとつのシーン、ひとつひとつのメッセージが丁寧に描写されている点。ある意味、ストーリーとしての完成度を犠牲にしてまで、やえかちゃんとその周囲の人々が織りなす、ほのぼのあったかいエピソードを、アルバムのように切り取る、そんなシーン作りがとても印象的なんですよねー。
もちろんそのメインフォーカスであるやえかちゃんのキャラクターも印象的。ろりろりで、ふにふにで、ひらひらで、ナース帽で、表情豊かで、ちょっと幼っぽい感じで、ほっとけなくて・・・・・・あぁ、書いてるうちにくらくらしてきた・・・そんな要素満載で、とにかく、参っちゃいますね(笑)。
ストーリーを読むというより、シーンのひとつひとつを味わいたいタイプの個性的な作品です。
全国3000万ナースファンの皆様、お待たせしました!
間もなく紹介100作となる当コーナーで初めての、ナース帽ヒロイン、本草やえかちゃんの登場です!ぱちぱちぱちぱち。・・・といっても看護婦(あ、今は看護師って言うのか)じゃなくて、獣医のタマゴなんですが。
八重歯がかわいくて、動物のにおいが大好きという、天然爛漫ろりぷに美少女。無邪気な行動を見てると、作品に出てくるどの動物よりも小動物じみていて、んー、なんというかケージの中に入れて愛玩したくなっちゃうよーな感じですね(笑)。
でも、やえかちゃんの一番の魅力は人間らしい、豊かな喜怒哀楽の表情なわけでして。やえかちゃんの笑顔に触れることで周りの人たちが何か大切なことに気づいて、やえかちゃんが哀しい表情を見せるたび、やえかちゃんが成長していく、そういう意味で、ひとつひとつの表情がだいじな意味を持っている、そんな存在感のあるヒロインなのです。
ぷにぷにひらひらなやえかちゃんのひとつひとつの表情を追っていくたび、読み手の心が柔らかく癒やされていく。やえかちゃんのナース帽にはそんな力がありますね。
やえかちゃんがお世話になってる「すずの動物病院」の鈴乃先生。ストッキングの御美脚と、ベリーロングの黒髪が印象的ですね〜。クールで優しい、包容力のある女医さんという感じで、こんな獣医さんがいる動物病院なら、毎週ウチのハムスター連れて通っちゃいますね。
やえちゃんの同僚、というか頼れるお姉ちゃん、せな(如月芹奈)ちゃんもナイスキャラ。やえかちゃんにはない、フェミニンな魅力がいーですねー。完璧なように見えて、ミョーなところで頼りないところも、味。
もひとり、モース獣医学校の同級生、ボーイッシュな珠ちゃんこと市村珠貴ちゃんも気になる存在。もっと出番をー!
見た目通り、ろりぷに色が強い作品。おまけコラムページ「やえちゃんのいつもいっしょ!」も含めて、やえかちゃんのキャラクターにおんぶにだっこ、という感じの構造になってる作品なので、好みは分かれそうですね。まぁ、このHPに来てくださってる方なら問題ないような気もしますが。
基本的にジャケットのイメージ通りの作品なので、ま、平台で見て気に入ったなら大丈夫でしょう。
2002.6