（博／メディアファクトリー ＭＦコミックスアライブシリーズ・全５巻）
温泉巡りが趣味の高校生・湯上誠は、半ば騙されるようにして訪れた温泉宿の露天風呂で、銀髪の美少女に出会う。
そして温泉宿の少女４人に、彼女・白羽ゆりは神通力で湯を起こす温泉の神で、無関係の人に見られると神通力を失い、人間に戻ると伝えられる。
そして再び誠の前に現れた神様は、無関係の人である誠に姿を見られたためにその力を失い、髪が黒くなっていた。
彼女を助けるためには「無関係の人」ではなく「関係者」になればいい、ということで、誠は親元を離れその温泉旅館「みやま館」で働き始めることになる。
神様と温泉街の人々が繰り広げる、ハートウォーミング青春ストーリー。
これはいい買い物をした……！
そう思わせる極上のヴィジュアルが魅力の作品です。
温泉の神様・白羽ゆりちゃんを筆頭に、「みやま館」の少女たちはいずれ劣らぬ個性派の美少女揃い。
うんうん、これだけでも満足ですね〜。
そこに伊香保を彷彿とさせる温泉情緒と、神様が暮らす温泉町のちょっと不思議な日常を加え、しっとりふんわりとしたムードにまとめられていて、読んでいて和めます癒されます。
まさにこれは読む温泉。
気持ちが疲れたときに心に効く、とっておきの秘湯のようなコミックです。
最上の黒髪……ッ！
１７年前のサイト開設以来、ことあるごとに黒髪黒髪黒髪黒髪と念仏のように唱えてきましたが、その中でも極上のヴィジュアルを誇る黒髪少女、白羽ゆりちゃんが登場です。
艶やかな黒髪に浴衣が似合う、究極の大和撫子。ふっくらほっぺに長い睫毛、黒目がちの大きな瞳が印象的で、何度もページをめくる手を止めて見入ってしまうんですね〜。大人びた表情をしたかと思えば、子供のように無邪気に笑ったり、ころころ変わる表情もまた魅力。
しかしその魅力はルックスだけにとどまらず、朴訥で無防備な純真さが、いつにも「世間知らずな神様」って感じで、ほっとけなくなっちゃうんですね〜。
温泉の神様でありながら、ひょんなことがきっかけで神の力を失ってしまった女のコ。しかしそんな悲壮感は少しも見せない健気さ、明るさが読み手の胸をほこっとさせる、まさに温泉のようにあたたかで素敵な少女なのです。
神様・ゆりちゃんをとりまく「みやま館」の４人娘も、神様に負けず劣らず魅力的。
最上のアンダースロー……ッ！ その美麗なフォームに唸りたくなるのは山田久志……じゃなくて塔ノ沢つつじちゃん。跳ねたショートカット、というルックスから想像できるとおりの、運動神経抜群な天真爛漫元気っ娘。類まれな身体能力が生み出すアクションは、「静」の神様と対照的な「動」の美ですね〜。
つつじちゃんとい〜い百合カップルぶりを見せるのが、六弥みともちゃん。黒髪にシニカルな視線が似合う、ＩＴ少女です。縁の下の力持ち、という役どころですが、肝心なところではしっかり存在感を見せてくれます。
包容力たっぷり、ポニーテールの癒し系少女が、４人娘の長女格・宇敷とくらちゃん。才色兼備の大和撫子で、ヒロインを張っても不思議ないスペックの持ち主。とくらちゃんのいる宿なら、温泉に入らなくてもしっかりほっこり出来ちゃいそうですね〜。
そしてみんなお待ちかねの小学生、メンバー最年少が快活ないたずらっコ、御子貝あきのちゃん。この作品のマスコット的存在であり、ムードメーカーであり、作品を引っかき回すエンジンにもなる、賑やかな女のコです。他のメンバーに比べるといろいろ足りないところもあるけれど、むしろそこがチャームポイント。全力で愛でたくなる、ちっちゃなツインテ娘です。
散文的で、なんともヴィジュアル重視な作品ですね。ディテールはかなり浅いですし、話もあちこち飛んだりするので、読み込むというよりは、５人のヒロインを愛でるタイプの作品だと思います。
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２０１５．１１