(博/メディアファクトリー MFコミックスアライブシリーズ・全5巻)
温泉巡りが趣味の高校生・湯上誠は、半ば騙されるようにして訪れた温泉宿の露天風呂で、銀髪の美少女に出会う。
そして温泉宿の少女4人に、彼女・白羽ゆりは神通力で湯を起こす温泉の神で、無関係の人に見られると神通力を失い、人間に戻ると伝えられる。
そして再び誠の前に現れた神様は、無関係の人である誠に姿を見られたためにその力を失い、髪が黒くなっていた。
彼女を助けるためには「無関係の人」ではなく「関係者」になればいい、ということで、誠は親元を離れその温泉旅館「みやま館」で働き始めることになる。
神様と温泉街の人々が繰り広げる、ハートウォーミング青春ストーリー。
温泉を舞台にしたハートウォーミングコメディ。
「ほのぼのアクション温泉青春ストーリー」という看板ほどにアクションは目立っていない気もしますが、他の部分は看板に偽りなし、と言って差し支えないでしょう。
整った絵柄で描かれる、「みやま館」の5人の少女の魅力であったり、伊香保を彷彿とさせる温泉街の情景であったり、あるいはアクションシーンであったり、とにかくヴィジュアルが前面に出ている作品で、「読む」というより「見る」作品になっています。
「温泉の神様」というファンタジー要素がキーとなっている作品ではありますが、そこをあまり押しつけてくることはなく、あくまで神様・白羽ゆりをメインとした「みやま館」の少女たちの個性を前面に出して来ており、温泉を舞台にした日常系の範疇に入る作品だと思います。
全体にストーリー運びがぎこちない感じはありますが、それも味の内。ヴィジュアルと情緒を味わいたい、手頃な軽ファンタジーです。
2015.11