(水谷悠珠・蒼山サグ・てぃんくる/アスキー・メディアワークス 電撃コミックスNEXT・1〜6巻)
不登校の高校生・貫井響は、ボーカルソフトのプロデューサーとしてネット上で活躍していた。
そんな彼に届いた1通の、会って話をしたい、というメール。
3年間ヒキコモリ、外出するのは人がいない時間帯のコンビニくらいという響にとってそれは高いハードルだったが、メールの中の一文に興味を引かれた響は、それを承諾する。
そして向かったゴールデンウイークの公園。そこには3人の、小学生の女のコが待っていた。彼女らの願いは、自分たちのバンドを響にプロデュースしてほしいというもので……。
この原作者は前作の「ロウきゅーぶ!」にしても、この「天使の3P!」にしても、「ヒロインが小学生」というところがウリにも、同時に評価を下げる要因にもなっているような気がするんですが。
またも小学生をヒロインに据えてきたこの作品はロックバンドをテーマにした作品。
ひきこもりの少年と、理由ありな小学生女子3人のグローイングアップストーリーとして、しっかりした読み応えを持っています。
ヒロインの魅力ももちろんですが、教会という舞台設定のミステリアスさ、その地下室に眠るビンテージ楽器というシチュエーションも読者の興味をそそるには十分で、とにかく読者を引っ張る牽引力の強さが光ります。
水谷さんの作画も、原作を忠実になぞるだけでなく、テンポメイクがしっかりしていて、印象的なシーンはより印象的に、原作ではやや物足りなかったシーンもしっかり補完して、コミカライズの役割を十分以上に果たしてくれています。
2015.1