MとNの肖像

(樋口橘/白泉社花とゆめコミックス・全6巻)

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Story

迷える小羊その1・安部みつると、その2・甘草夏彦。ふたりは「まともで穏やかな学生生活を送りたい」と決意して、高校生活に飛び込んだ。
しかし運命は皮肉。マゾヒストという本性から、中学で騒動を起こしたみつると、ナルシストという秘密ゆえに、他人に深入りできない夏彦が出会ってしまうのだった。

Impression

ストーリーを要約すると、それぞれマゾヒスト、ナルシストという性格故に他人と交わることが出来ず、コンプレックスを抱いて来た男女が、それぞれの悩みを打ち明けることで、思いを共有していくエピソードなんですが・・・
独特のノリと、なんといってもキャラクターのインパクトから、それがストレートに読者に伝わってこない、そんな作品です。
作品のテーマ性が直に伝わってこないというのは、この作品の場合むしろ美点で、全体に重い作品なのに、なぜかキャラクターのインパクトで、するするとストーリーに入っていける、そんな効果を醸し出しています。
間違いなく重い作品であるのにかかわらずとっつきやすい、そんな不思議な魅力が味わえる貴重な一冊です。

2000.10