(橘裕/白泉社ジェッツコミックス・全1巻)
昔書いたポエマーなラブレターをネタに、美少女・香野藤緒にユスられつづける好青年・杉島拓也。彼には藤緒に知られたくない裏の顔があった。それはベタ甘少女小説家・花屋敷ゆり子という顔。拓也は秘密を守りきり、かつて「あたし“いい男”が好きなの」と言った藤緒のハートをつかむ事が出来るのか?
「LaLa」誌をメインに、少女誌で深みのあるハートウォーミングコメディを描き続ける橘裕さんの青年誌初登場作品です。
どちらかというとコメディ色が強く、ストーリーの手堅さよりも、キャラクターのテンションの高さと、連続する小ネタでクスリと笑わせながら、作品に引き込んでいくような感じの中編ですね。
雰囲気、絵柄は少女マンガそのままに、テーマやストーリー、キャラクターは青年マンガのフォーマットで描いたハイブリッド作品という感じですが、全体的には少女マンガ的なしっとり感が滲み出る作品。読み手を選ばないタイプのいい作品だと思います。
2001.6