(山野りんりん/集英社りぼんマスコットコミックス・全1巻)
とある街の商店街外れにあるふしぎな骨董品店「あなろ具屋」。
のほほんとした直彦さんと、人情家の小夜子さん、ふたりが守るその店にはふしぎなアンティークがいっぱい。
そしてそれを買ったお客にはふしぎな出来事が訪れる・・・
「妙な物が出てくる、妙な話を描きたいなと思っていたら、こんな話になってしまいました」
そんな作者の言葉通りの、ファンタジックで印象的な短編連作です。
「星をつかむ手袋」、中に入れた物がふたりになって出てくる「ふしぎなポケット」、引き出しの欠けた「タンス」、そんなふしぎなアンティーク・アイテムが引き出す物語は、雰囲気で笑わせるタイプの、和み系軽コメディのノリと、暖かく懐かしいムードに包まれています。
直彦さんと小夜子さん、レギュラーキャラクターはけして前面に出ることなく、アイテムを通じてゲストキャラの人生を浮き彫りにする16ページが、とても効果的に胸に残ります。
2002.12