アラタカンガタリ〜革神語〜

(渡瀬悠宇/小学館少年サンデーコミックス・1〜24巻)

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Story

高校で陰湿ないじめを受け、絶望的な気持ちで街をさまよっていた少年・日ノ原革(あらた)。
古代日本に似た世界「天和国(アマワクニ)」で、秘女王(ヒメオウ)殺しの濡れ衣を着せられた少年・アラタ。
ふたりの少年は世界を交差し、入れ替わってしまう。
革は、古より伝わる剣・劍~(ハヤガミ)を操り、自らに着せられた冤罪を晴らすため、そして秘女王殺しによって解き放たれた劍~を鎮めるために旅立つ。
異世界ファンタジーの名手が放つ、渾身のダイナミック・アドヴェンチャー。

Impression

ダイナミックなファンタジーを得意としてきた渡瀬さんの、少年誌デビュー作になります。
出世作「ふしぎ遊戯」から持ち味としてきたテンポのよさと重厚な世界観、そしてキャッチーなキャラクターはそのまま。世界観の提示もヴィジュアルを的確に使ってスムーズに済ませ、このへんはヴェテランならではの手慣れた仕事と感じられます。
一方、週刊少年誌での連載に合わせる形で、「剣と魔法」のアクションが豊富になり、尺を取ってひとつひとつのエピソードをたっぷり描き込んで、主人公の心理描写だけではなく、作品世界を丸ごと楽しませる意欲作になっています。
まさに異世界ファンタジーの王道といえる作品で、たっぷりのヴォリュームをすんなり読ませる手際のよさはさすがと感じられますね。

2012.3