ブルヴァール

(日生かおる/少年画報社ヤングキングコミックス・全5巻)

ハイテンションモードへ

story

ふとしたきっかけで「MR2」のオーナーになった大学生、藤原雪乃。普段は中学生に間違えられるような彼女だが、一度ステアリングを握れば、ナチュラルなスピードを発揮し、峠を、街を自在に駆け抜ける。雪乃に親友・晴子、雪乃にぞっこんの小夜子らがからみ、コメディー劇が展開される。

impression

この作品を初めて見たときは、清冽な衝撃を受けました。クルマが出てくるマンガというと、まあ夜峠を攻めるみたいなシーンとか、効果線がバリバリ入って背景が妙に重ったるかったり、絵が何となく雑な感じがしたり、クルマのアップやばかでかい効果音で画面が見にくかったり・・・という印象というか先入観があったんですが、この作品はその対極を行っているようで、すがすがしい印象を感じました。でも、クルマとドライバーが生き生きと書かれていて、読み終えると車に乗ってその辺の峠でも走りに行きたくなるんですよね。クルマが好きな人はもちろん、クルマが出てくるマンガに抵抗がある人にこそ勧めたい作品だと思います。
しかし、この作品、クルマのマンガという売り文句ではあるんですが、読み進めてトータルに見てみると、クルマとほとんど関係のない話もいっぱいあったりします。うーん。
どちらかというと主人公・雪乃と、晴子、小夜子、麻生、刈谷といった周りの人たち、そしてMR2こと「パトリックさん」の交遊、そしてその人たちによって成長し、変わっていく雪乃の表情、といったものを楽しみたい作品です。

1998.11