(CLAMP/講談社ヤンマガKCデラックス・全8巻)
貧乏浪人生・本須和秀樹がバイト帰りにゴミ捨て場で拾ってきたのは、人型パソコン。それを「ちぃ」と名付け、同居(?)生活を始める秀樹だったが、OSもインストールされていない「ちぃ」はパソコンに疎い秀樹にとっては手に余る存在。
そこで親友・新保に協力を頼むが、ちぃと接続した新保のノートパソコンがクラッシュしてしまい、さらに訪ねた国分寺稔の家では・・・
無垢なパソコン「ちぃ」と純情青年・秀樹の新世紀王道ラブコメディ。
当HPでCLAMPさんの作品を紹介するのは4作目。それだけ安定して面白い作品を量産する作家さんだ、というわけですが、同時に掲載誌に合わせ、その読者層を上手く狙いながら、かつ自分たちの色を正面に押し出している、そういう部分がこのユニットが広範囲から支持されている理由なんでしょうね。
で、CLAMPさんが青年誌読者向けに提示したのは「ひとり暮らしの家にかわいい女のコが突然転がり込んできた!」という青年誌王道ラブコメ+アンドロイド物のちょっと未来的でミステリアスな雰囲気。さらにCLAMP作品には珍しく男性読者になじみやすい男性キャラクターを主人公に持ってきて、男性読者の手になじみやすい作品に仕上げています。
一方でいかにもCLAMP色と言えばナチュラルハイな雰囲気と、個性的な脇役陣、そして強烈な印象を残す各シーン。このおかげで作品のイメージはにぎやかで、ノリのいい感じになっています。加えて展開が早く、読者に息つくヒマも与えない感じでストーリーが進み、一気に読者を作品世界へからめ取ってしまう感じはさすが。
CLAMPさんのいい意味でこってりとした世界を楽しめるお得な作品ですね。
2001.3