(菊池久美子/秋田書店プリンセスコミックス・全7巻)
千葉の田舎に暮らす中学生・鈴木凛は祖父を亡くし、母を頼って上京することを決意する。
人込みにもまれ、必死の思いで南青山、四ツ谷と母を追った凛は、そこで意外な光景を目撃する。憧れていた母は年を鯖読んで、22歳のグラビアモデルとして活躍していたのだった!
モデル界を舞台にした少女のグローイングアップ&サクセス・ストーリーというのは少女マンガの定番シチュエーション。ヒロインがボーイッシュで活発奔放な女の子というのも「お約束」ですが、この作品の場合、部屋の小物であるとか、学生服のエピソードであるとか、些細な部分からキャラクターに深みが与えられていて、ひと味違う、読み応えのある作品になっています。少女マンガでこのテのディテール作りをしている作品というのは珍しいような気がしますね。
キャラクター作りでも、一人称が「オレ」という凛の徹底した男のコっぽさや、他のキャラクターの印象を薄くして、視線を凛に集中させるような構成でヒロインの魅力をアピールしており、ヒロインを印象づけることに成功しています。
どちらかというと少女マンガよりはいわゆる「萌え系」の青年マンガのような作りをしているのが、逆に少女マンガとして奏功しているような異色作です。
2002.2