(藤原ここあ/エニックスガンガンWINGコミックス・全12巻)
人間でも魔者でもない、第三の存在・魔狼(ライカンスロープ)。
その最後の末裔・散葉(ちるは)はたったひとり、テレビだけを友に山奥でひっそり暮らしていたが、ある日意を決して人里へと下りる。
初めて出会う人や魔者に戸惑いつつも、積極的に接しようとする散葉。
そんな彼女が出会ったのが、魔者討伐隊の青年・杞扠(きさら)だった。彼の監視下に置かれた散葉は、なんとか仲良くなろうと(無駄な)努力をするが、クールな杞扠は取り付く島もなく・・・
藤原ここあさんの和み系フォークロアコメディの決定版。
前々作「私の狼さん。」、前作「私の狼さん。-THE OTHER SIDE OF LYCANTHROPE-」と世界観を共にする、ファンタジーコメディです。第一話でさっそく以前のシリーズのキャラクターが顔を出しており、三部作となることが意識されているようですね。とはいえ、1巻を見る限り、ストーリーは本作で新登場のキャラクターのみによって構成されており、シリーズ他作品を知らなくても、十分に楽しむことが出来ます。
天然系のヒロイン・散葉、テンションの高いクレバートの両ボケ役と、クールなツッコミ役・杞扠のかけあいがファンタジーコメディである本作のメインパート。しかしその雰囲気は散葉の純朴なキャラクターにより、無駄にテンションが高くなることなく抑えられ、時折挿入されるメッセージとうまく融合する雰囲気を保っています。
ディテールにこだわらない作風や、東南アジア風の舞台設定もあり、全体的にのんびり楽しめる感じの作品で、和み系ファンタジーの決定版的作品と言えるでしょう。
2003.3