（しゃあ／メディアワークス電撃コミックス・１巻〜）
クラスで「狂犬」と恐れられる不良学生・千代啓二。しかし彼には他人に言えない秘密があった。それはズバリ、マンガを愛し、フィギュアを愛する「オタ」ということ。
啓二はひょんなことからその秘密をクラスでも目立たない人畜無害の「ハチ公」こと八咲せつなに知られてしまい、さらには脅迫されることになってしまう。
脅迫者・せつなが屋上で啓二に課した、その内容とは……？
内気な少女と素直になれない少年の学園ラブコメ、という定番シチュエーションの作品ですが、そこに「犬」というモチーフを嵌め込んでいるのが面白いですね。
そのモチーフに対するこだわりがキャラクターを「擬犬化」させたストーリーにおいても、また画面作りにおいても徹底されており、作品のカラーをはっきりさせているところが興味深く感じられました。
それに加え、アイキャッチ的なカットを多用し、シーンの印象度を高めているのも独特のセンス。
それゆえにストーリーのなめらかさ、読み込み度が犠牲になっている面は否めませんが、ひとつひとつの状況が少ないストレスで印象づけられるため、テンポよく読み進められる作品に仕上がっています。
全体的に、ストーリーよりも視覚的・デザイン的要素が印象に残るような独特の味わいを持った作品で、考えるより先に見て楽しめる、萌え系ラブコメのひとつの解答といえる作品になっています。
２００６．５