動物のお医者さん

(佐々木倫子/白泉社文庫・全8巻)

ハイテンションモードへ

Story

札幌の高校生・西根公輝(まさき)はある日、通りかかった大学構内でフェイスペイントをした謎の中年−漆原教授から一匹のシベリアンハスキーの仔犬を託される。
月日は流れ、何の因果か獣医学部に進んだ公輝と成長した仔犬−チョビ。
その周囲は漆原教授や公輝の祖母、超スローペースの菱沼さんらの存在で、いつもトラブルが絶えなかった・・・
脱力感あふれる独特のテンションで一世を風靡した、動物コメディの決定版。

Impression

ディテールフルなストーリーづくりと豊富なテキスト、ディフォルメの少ない絵柄で、りありてぃを感じさせながら、適度に擬人化した動物キャラと個性豊かな人間キャラが上手くかみ合い、ナチュラルハイな感じのキャラクターコメディに仕上がっている作品です。
獣医学部の日常を活写したリアリティが読者の知的好奇心を満足させる一方で、短編読みきりコメディというスタイルはヘビィな感じのない読みやすさに繋がっており、何度呼んでも飽きず、古びることがありません。このへんが幅の広い読者に支持されている理由でしょう。
一時代を築いたまったり系コメディとして、誰もが納得できる好作品です。

2003.6