(臣士れい/メディアワークス電撃コミックス・全3巻)
明朗快活な中学生の橘桃香は、とっても弟思い。他人とのコミュニケーションをとるのが苦手な弟・桜香にいつもべったりで、時には揶揄の的となることも。
そんな桃香はある日腹痛で倒れたところを異界の男・ブロウに襲われる。
それをきっかけとしたかのように、桜香は何かの「覚醒」の気配を見せ始め・・・
異界と現世をつなぎながら、濃厚なセクシー描写で綴るサスペンスファンタジー。
ノーマルモードで紹介するのが難しい作品ですねぇ(笑)。
セックスそのものを描いてるわけではないとはいえ、下手な成人向け作品より官能的な描写が目立つ作品。実際、この描写の存在がこの作品のイメージを決めています。
しかしもちろんそれ系の描写だけでストーリーをつなぐわけではなく、ひとクセもふたクセもありそうなキャラクターを豊富に揃え、それをバランスのいい位置に置いてじわじわとストーリーを広げていく手法で巧みに読者を作品世界に捉えてくれるような部分があります。
桃香と桜香の姉弟が陽と陰の対比を見せるほか、官能系描写とそれ以外の落ち着いた描写、白っぽい画面と戦闘シーンの黒メインの画面・・・など、コントラストを意識したような運び方も作品を印象づけるかたちで、インパクトのあるおもしろい作品だと思います。
大きく好みが別れる作品だとは思いますが、こういう色合いのはっきりしたインパクトのある作品というのは、個人的には評価高いですね。
2001.8