(高屋奈月/白泉社花とゆめコミックス・全23巻)
母と死別し、わけあってテントでひとり暮しをしていた少女・本田透は、ある日学校に行く途中で、一軒の家を見つける。そこは和装の美形・草摩紫呉と、学校の「王子様」草摩由希の住む家だった。あれこれあって草摩家に住む事になった透は、そこで草摩一族のとんでもない秘密を知る事になる。十二支の物の怪に憑かれた彼らは、異性に抱きつかれると、十二支の生き物に変身してしまうのだ。
キャラクターが多く賑やかで、快活な感じのギャグがあちこちにちりばめられていて、アップテンポな感じがする作品です。
セリフが多い作品ですが、それを巧妙に輻奏させているのも、独特のテンポ感を作る要因となっています。
そしてこの作品を通じたメッセージとなっているのが、人と人の交わりの暖かさと、人と人の触れ合いの難しさ。それが教条的な台詞だけで語られるのではなく、キャラクターの動きによってじっくりと語られて、心にすっと染みてくる、ハートウォーミングな作品に仕上がっています。
1999.7