(美濃みずほ・北村薫/角川書店あすかコミックスデラックス・全4巻)
姓は覆面、名は作家、でペンネーム覆面作家。なんとも人を馬鹿にしたようなミステリー作家だが、しかしてその実態は天国的美貌のお嬢様で、かつ頭脳明晰な名探偵。
これだけでもとんでもないというのに、お嬢様−新妻千秋−は、お邸ではおしとやかな深窓の御令嬢なのに、外ではべらんめぇの活発な女の子になっちゃうんだからさらに大変。担当編集者・岡部良介の多難の日々は続く。
ご存じの方も多いと思いますが、北村薫さんの小説をコミック化したものです。もともと絵にするのが難しい設定のものをコミック化しようというのですから、小説を既読の方は多かれ少なかれ違和感を感じるかと思われますが、すっとぼけた独特の雰囲気はよく出ていますし、トリックの説明もまずまず。「あすか」ナイズされた作風は評価が分かれるかもしれませんが、全体的に雰囲気を楽しめる作品になっています。
1999.2