(橘裕/白泉社花とゆめコミックス・全8巻)
室井友里は恋に生きる女。だけど男運が悪く、恋に恵まれない女。
11人目の男に12回目の浮気をされ13回目のデートでフラれた友里はその現場を美少女・神楽坂素子に見られてしまう。
素子は見た目通りの美少女ではなく「美少女の皮をかぶったオッサン」。それを知ってしまった友里は修羅場を見られたことを素子に脅され、いつの間にか彼女とつるむ羽目に・・・
矢部、平尾、ふたりのダメ男もからんで、「どーしよーもない高校生」たちが繰り広げるハイテンション・ラブコメディ。
橘さんの持ち味であるメッセージ性を秘めたストーリーを軸に、テンションの高いキャラクターを組み合わせたキャラクターコメディです。
アクの強いキャラクターを揃えながら、ストーリーの中心線を見失わずにしっかりとストーリーを進めていくので、タイトルのようなガッチャガチャしたイメージはなく、スムーズにドラマを堪能できる好作品。エピソードの序盤でテンションを上げ、中盤以降もシリアスさを殺さない程度に中和するコメディ要素もうまく、ラブコメらしいラブコメになっています。
ひとつのセリフからエピソードを広げたり、逆にひとつのセリフにエピソードを収斂させたり、このへんのセリフ遣いの巧さがハートウォーミング性を高めると同時に、作品に若々しさを与えています。名手らしい、読み込みがいのある作品と言えるでしょう。
2003.10