（小森チヒロ／小学館ちゃおコミックス・１〜３巻）
神社の娘・詠は、縁結びの神社なのに縁切り神社呼ばわりされ、心霊スポット扱いされている神社を盛り上げたいと願っている。
そんな詠はある日、拝殿の中を改装してくつろいでいる神様と出会う。
詠は神社を縁結びの神社として盛り上げるべく、神様とのラブラブ写真（ヤラセ）を撮ってSNSに発信して宣伝する、という作戦を思いつくが……。
1巻の紹介文に「ラブコメディ」ではなく「カップルコメディ」と書かれているように、コメディ色の強い作品。基本的に詠と神様、ふたりだけで取りまわしているところには好感が持てます。
テンション高く行動力抜群な詠に対しクールでダルな神様、あと先考えないタイプのボケ役の詠に対し、バッサリとツッコミを入れる神様というコンビには漫才のような味わいがあり、読んでいくうちにこの作品のテンポに捕まってしまうような心地よさがあります。
年少読者向けのキャッチーさ、イージーさがある一方で、大人の読者でも小刻みにくすくす笑って楽しめるようなテンポの良さを備えており、巻を重ねているのも納得できるところ。
１巻に収録されている短編「さよなら、私たちの終末」も独特の世界観を手際よくまとめた好短編で、今後もさまざまな作品を読んでみたい作者です。
2023.8