花ざかりの君たちへ

(中条比紗也/白泉社花とゆめコミックス・全23巻)

この作品はTAKAJAさんからの紹介を頂きました。

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Story

芦屋瑞稀は憧れのハイジャンパー・佐野泉に会いたい一心で、単身米国から帰国、彼の通う男子校・桜咲(おうさか)学園に男装して転入を果たす。
運命か偶然かはたまたお約束か、泉と同じクラスになり、そればかりか寮でも相部屋になって満願成就の瑞稀だったが、狼の園に小羊一匹、にぎやかで個性的な寮生に囲まれた瑞稀の学園生活は楽しいながらもドキドキのハプニングが連続。
しかし最大のハプニングは、泉が高飛びをやめていたことだった・・・

Impression

ひとことで言えば学園群像ものということになりますか、定番のにぎやかな学園ストーリーです。
つかみであり軸である、ヒロインが憧れのアスリートを追って、男子校に男装して入り込むという部分は、正直なところこれだけ巻数を重ねてくると、読者の興味を引っ張るには力が足りない部分もあるのですが、それを補うべく、ヒロイン・瑞稀がイロモノ的設定にもかかわらず、読者の共感を得やすい明朗な少女として描かれていますし、基本的に悪人が出てこないエピソードづくりも、学園ものらしい朗らかさにつながっていて、明るいイメージをトータルで楽しむタイプの、意外と飽きが来ない作品になっています。
また、主人公近辺のキャラクターを共感しやすい「フツーの男の子」として描いているのとは対照的に、準レギュラークラス、あるいはゲストキャラクターはどれも個性が際立っていて、エピソードに彩りを添えているのも、「読み飽きない」という意味では大事なポイント。
大作でありながら、安心して読み重ねていくことが出来る作品ですね。

2002.8