(依澄れい・麻枝准/メディアワークス電撃コミックス・全6巻)
おいしいお茶を入れることだけが取り柄の内気な少女・ヒビキは、人里離れた森の中、マホウの研究者・シロツキと平穏な日々を送っていた。
しかしその日々は、シロツキの研究を狙う賊によって奪われる。
やむなくヒビキは首都・カミグスクへ向かい、カミセイドマホウ学院の門を叩く。そこでヒビキはなんと、シロツキの助手だったという経歴から、マホウも出来ないのに教師を任じられることになる。
keyでヒット作のシナリオを数々手がけて来た麻枝准さんの原作だけあって、しつこいほどにキャラを印象づける導入の仕方、かけあいを重視したテンポメイク、感動要素を重視したシナリオなど、keyらしさ、麻枝さんらしさが前面に出た作品になっています。
作画の依澄さんもkey系の二次創作を多く手がけている作家さんらしく、シナリオの魅力を的確に再現しており、柔らかく、優しく、少しせつない世界観を余すところなく再現しています。ともすれば重くなりがちな要素をはらんだシナリオが、柔らかく仕上がっているの依澄さんの個性が作用した結果で、理想的なコラボレーションの一例と言えそうです。
もちろんゲームと違い、ひとつひとつのシナリオのボリュームは圧倒的に少ないのですが、読み込むための要素はきちんと備えられており、keyのエッセンスが十分に染み込んだ、ハートウオーミングの佳作になっています。
2007.1