(橘裕/白泉社花とゆめコミックス・全9巻)
桜章高校の養護教員、長谷川千鶴はやさしくて、かわいくて、みんなの人気者。
そんな彼女は生徒の身体の傷を治すだけでなく、彼らの心の傷も癒せるような養護教員になりたいと志している。
そんな彼女はある日、授業を抜け出してどこかへ行こうとする2年生、久我直樹の姿を見る。
私の出番!とばかりに久我を追う千鶴だったが、久我は思ったより手ごわくて・・・
すごく雰囲気のいい作品です。
描かれているのは、高校生の日常の中にある些細な悪意だったりで、けして軽いテーマの作品ではないのですが、いつも前向きで無邪気な千鶴先生の雰囲気と、存在感のある久我くんの言動がうまくクロスし、ストーリーの着地のよさとあいまって、読後の満足感の大きい作品になってます。
千鶴先生の保護者役・泉ちゃんや、久我くんの理解者・小川先生など、脇役陣の出方もタイミングよく、爆笑できる作品ではないながら、なにかほほえましく、頬が緩んでくるような、柔らかい作品世界が作り上げられています。
1999.9