(MATSUDA98・太田顕喜/メディアワークス電撃コミックス・全4巻)
お嬢様学校・聖慎女学院に通う志賀穂乃歌は、絵を描くことが好きだけど、それを形に出来ず、将来の夢を真っ白なままにしていた。
そんなほのかに対し、叔父であるゲームデザイナーの神立隆一は、半ば強引にほのかを、自らが設立した会社「ゼロフレーム」にバイトに来るように勧める。
さっそくゼロフレームを訪れ、バイトを始めたほのかだったが、ゲーム機をいじったこともないほのかにとってゲームメーカーで目にするものは分からないものだらけ。
LV.0から始まる、ほのかの成長物語。
MATSUDA98さんのシンプルで愛らしい絵柄と、メディアワークス作品らしいポップで洗練されたデザインワークがマッチした、明朗さが前面に出たハートフルコミックです。
ゲーム業界をテーマにした「業種モノ」の作品であり、サブキャラ数も豊富ですが、ディテールにこだわったり、群像劇的に視点を変えてみたりという小細工はせず、ほのかが自分に課せられたテーマにどう向かい、周囲の人々との関係の中でどう成長していくか、という部分をシンプルに描いていて好感がもてますね。
本来なら、青臭くなってしまいそうなテーマ、シチュエーションですが、そこをあくまで優しくキュートに描いているのが印象的で、突出したインパクトはなくとも素直に心に残る好作品です。
2006.9