(鳴見なる+唐花見コウ/角川書店角川コミックス・エース・全8巻)
野沢ひなげしは、父の再婚に伴って、信州・小川村にやって来た。
野沢家の決まりごとは、新しく姉妹になった社、繭、りんごと4人で、野菜作りをすること。
アルプスを見上げる山間の村で、ひなげしの新鮮な毎日が始まる。
「東京に近い田舎」という地理条件のおかげで、これまでにも長野県を舞台にしたコミック・アニメ作品は数多く、「サマーウォーズ」(上田市)や「おねがい☆ティーチャー」(大町市)がブームとなったり、上田電鉄の「BASARA電車」、長野電鉄の「モンハン特急」など、ゲームとのタイアップも多くありましたが、この作品は小川村の「公認」を受け、地元紙や地元のFM番組で取り上げられるなど、信州ローカルな形で静かに注目を集めています。
それというのも、作品に流れる空気感、田舎ならではのリアリティが、地元・信州人に受け入れられやすいからでしょう。
共作者のうち、唐花見さんは小川村の出身ですし、鳴見さんも小川村に通い、時には鍬をふるって農業を体験しながら書かれたということで、背景のひとつひとつにも妥協が感じられず、農作業に関するディテールもしっかりしたものになっています。
舞台とキャラクターの一体感が感じられる、読みごたえのある作品です。
2011.12