(藤原ここあ/スクウェア・エニックス ガンガンコミックスJoker・全3巻)
あらゆるものを侵略し、あらゆるものを滅ぼす、悪の組織。その参謀は情に流されることない、優秀にして冷酷な頭脳と称される男だった。
一方、その悪の侵略に立ち向かうべく立ち上がったのは孤児院育ちで、「御使い」に選ばれた儚げな少女だった。
そして、悪の参謀と魔法少女が相まみえた時。
…………………………悪の参謀は、魔法少女にひとめぼれした。
夭折の鬼才・藤原ここあが最後に世に送りだした、破壊力満点のコメディ四コマ。
今年3月に急逝した、藤原ここあさんの遺作となる作品です。
テンポのいいかけあいと、すっとぼけた雰囲気で進む、藤原さんらしいコメディを、四コマというフォーマットに乗せてきて、いつも以上にコメディテイストの強い作品になっていますね。あまりテンションの高いキャラはいないので、爆笑するという感じにはなりませんが、ペーソスの漂うネタの連続で、じわじわと来るタイプのコメディに仕上がっています。
本書のオビでも「4コマ」と銘打っていますが、四コマというフォーマットにこだわっているわけではなく、特に2巻は自在な形で物語が繰り広げられています。
前作「妖狐×SS」でハイテンションギャグとファンタジーを高密度にまとめてきましたが、こちらは密度というよりもリズムとイージーさを表面に出して来て、ファンタジー色よりもラブコメ色を前面に出しています。そんな、「新機軸」とも言える作品で、ここからどう風呂敷を広げていくのか楽しみだっただけに、この続きを読むことができないのが残念でなりません。
2015.11