風光る

(渡辺多恵子/小学館少コミフラワーコミックス・1〜40巻)

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Story

壬生浪士組−のちに「新撰組」の名を名乗ることになる佐幕派浪士団のもとに、新入隊士が加わる。その名は、神谷清三郎。父と兄を攘夷派に殺された彼は、その仇を討つために浅葱の羽織に袖を通したのだった。
しかし、清三郎はある日、とんでもない秘密を副長助勤・沖田総司に知られてしまう。
清三郎、実は本名を富永セイという女の子だったのだ。果たしてセイはアラっぽい男の中に身を置いて本懐を遂げることが出来るのか・・・

Impression

「時代物」の作品はこれまで当コーナーで何度か紹介してきましたが、「歴史物」は初登場ですね。
少女誌連載の作品、しかも主人公が女の子ですが、ロマンス要素は極力減らして、作者もこだわりを見せる考証に基づいた、ディテール感たっぷりの読みごたえに溢れた作品になっています。
新撰組(というか沖田総司)に視点を集中した結果、維新派についてほとんどページが割かれていない点はちょっと物足りない気もしますが、もともとキャラクターを追うことを主眼とした作品ですし、人間関係を出来るだけシンプルにすることで、軽快感が出ているので、これはこれでいいのかも。
リズム、画面、ストーリー、そしてキャラクターバランス。いずれの要素もしっかりした、漫画らしい漫画、そんな感じのする好作品です。

2000.6