(おしおしお/KADOKAWA MFCキューンシリーズ・1〜2巻)
家庭教師に英才教育を受けていたお嬢様・一ノ瀬櫻子は高校生活を夢見ていた。
その夢をかなえるために選ばれた進学先はお嬢様学校の双葉ヶ丘女子学園。……のはずだったが、何の手違いか進学することになったのは一般学校の二葉ヶ丘女子学園、しかも入った寮は築60年の木造のボロ家、第三寮だった。
世間知らずのお嬢様がオンボロ女子寮で繰り広げる、微笑ましくもカオスな毎日を描く。
作者のおしおしおさんは、まんがタイムきらら誌で連載されている「神様とクインテット」を読んで気になっていたマンガ家さん。そういう意味では本作と同時に第1巻が発売された「神クイ」の方を紹介すべきなのかもしれませんが、より描写がソフトでとっつきやすそうなこちらを紹介することにしました。
かわいい絵柄に、女子寮の日常を描いた、いわゆる「ゆるふわ系」のネタは萌え四コマの基準フォーマットで、カヴァーから想像できるもの。
しかしそこに浪速漫才のように小気味よく決まるツッコミと、ヒロインが涎や鼻水を垂らすことも厭わない、少年誌のようにアグレッシヴなギャグ描写が加わることで、単なる「ゆるふわ系」とは一線を画す、独自の作風を構築しています。
そういうヴィジュアルの微妙な小汚さは好みの別れるところだとは思いますが、小気味のいい思い切りのよさは、ハマるとクセになるタイプのもので、繰り返し読んでオチが分かっていてもやっぱり笑ってしまう、そんな中毒性を持った作品です。
2015.11