(重野なおき/リイド社SPコミックス・1〜2巻)
時は戦国末期。羽州・米沢城にとある主従がいた。
独眼竜と恐れられた奥羽の覇者(料理好きで酒には弱い)・伊達政宗と、知略に優れ秀吉にも目をかけられた軍師(ドSで政宗いじりが趣味)・片倉小十郎景綱。
そのふたりを中心に、個性あふれる伊達家の面々や、ひと癖もふた癖もある奥羽の群雄をコミカルに描き、北の戦国史を楽しく描いた歴史四コマ。
すっかり戦国四コマの第一人者となった重野なおきさんが新たに取り上げたのは奥羽の雄・伊達政宗。
数いる戦国武将の中でも人気の高いひとりであり、またエピソードも大変多い人物ですが、そこを手際よく料理して見せるのが第一人者ならでは。
政宗のほかは知名度で大きく劣る脇役陣を、主役に劣らないほどのキャラクターに仕立て、大河ドラマ的な面白さを四コママンガの枠で展開して見せます。キャラを立てようとするあまり、持ち芸がしつこいというか、オチがワンパターンになりがちなきらいもありますが、楽しく読めるという意味ではそれが奏功しており、持ち芸を楽しむ吉本のヴェテラン芸人や「笑点」を見ているような軽い楽しさがあります。
合戦や母との確執などシリアスなシーンもありながら、各キャラの芸風を織り込むことでくすりと笑えるポイントを作り、あくまで軽く読めるようにしているところも上手。
笑いながら東北の戦国史がすんなりアタマに入ってくる好作品です。
2019.2