三日月と流れ星

(椎名あゆみ/マーガレットコミックスクッキー・1〜5巻)

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Story

読書が好きな女子高生・充希が好きになったのは、倍以上も年上の、同じ趣味を持つ喫茶店のマスター・隆聖。
一度は充希が告白してフラれ、消えた恋だったが、その恋は充希が大学生になり、隆聖と再会したことでふたたび目を覚ます。
そこには充希と同い年の隆聖の息子、玲於が絡んできて……。

Impression

椎名さんがクッキーに移籍しての新作は、18歳の年齢差がある恋、しかも相手の息子も絡んでくるというなんとも難しいシチュエーション。そこをこの作者らしいストーリーテリングの巧みさで重くなり過ぎないようにまとめ、読者の憧れを巧みにくすぐりながら読ませてくれます。
「りぼん」誌で連載を持っていたころの椎名さんの作品というと、アップテンポにストーリーをすすめ、力技で読者を引っ張るような雰囲気がありましたが、この作品はじっくりとしたテンポで物語が進み、各キャラクターの心理が丁寧に描かれている印象があります。
控えめな文学少女のようでいて、押してくるところはしっかり押してくるヒロイン・光希のキャラクターがいいエンジンになっている点にも好感。
万人受けするシチュエーションではないですし、キャッチーなセールスポイントもありませんが、じっくり向き合って楽しみたい好ロマンスです。

2019.2