(永山ゆうのん/芳文社まんがタイムKR・全3巻)
天満そらは、鐘ノ台高校に入学したばかりの高校1年生。半自動ドアに苦戦したり、自動改札に苦戦したりと鉄道は苦手だけれど、仙台の近郊からJR仙石線で電車通学をしている。
彼女が鐘ノ台高校を志望した動機は、子供のころ電車で不安に思っていた時、手作りの切符を手渡して慰めてくれた「きっぷのお姉さん」に会いたかったから。
その手がかりを探すべく、そらは親友の星祭とわとともに、鉄道部の扉を叩く。
仙台近郊を舞台にした鉄道×仙台×百合の新機軸四コマ、ここに開幕!
仙台を舞台に、鉄道をテーマにして繰り広げられる百合四コマです。
鉄道マンガと言うと、作者の情熱が空回りするあまり、ディテールに凝り過ぎたり知識で読者にマウント取りに来るような雰囲気があったりで、ストーリーやキャラクターが置き去りにされているような作品が散見され、なかなか面白いと思える作品がなかったのですが、この作品は「鉄道」をあくまでも百合四コマの彩り、舞台装置にとどめ、深く説明してこないところが面白く感じられます。
地元の人や鉄道ファンなら散りばめられた鉄道ネタにいちいち食いついていくことも出来るでしょうし、そうでなければ鉄道ネタは気にせずに百合四コマとしても楽しめる、この二層構造がなんともユニーク。キャラクター同士の生きのいいかけあいもテンポよく、とても読みやすく感じられます。
それでも読み手を選ぶ面は否めませんが、一目千本桜や作並温泉など仙台近郊の観光地も散りばめられていてほどよい旅情も添えられており、多角度的に楽しめる個性的な四コマだと思います。
2019.11