(篤見唯子/芳文社まんがタイムKRコミックス・1〜4巻)
一之瀬花名はアクシデントがもとで高校受験が出来ず、中卒から1年経ってようやく高校へ。
出遅れた花名は、リスタートを切るべく両親の住む東京を離れ、従姉の志温が管理人を務めるアパートに引っ越し、見知らぬ町で暮らし始める。
しかし、人見知りの花名にとって、知らないひとばかりの高校生活はハードルが高くて……。
アクシデントで高校入学が1年遅れてしまったヒロインの物語。
それを茶化すでもなく真っ正面から描かれており、明るい作風の作品が多い「きらら」レーベルの中では異質な作品といえます。
篤見さんの新作ということで、雑誌に新連載されたときから期待していた作品でしたが、序盤はスロウスターターなヒロイン・花名と周囲のキャラクターに温度差があり、さて、どうなるかと思ったのは事実。
しかし、中盤以降は浪人という花名の「秘密」をしっかり作品の中枢にしながらも、それをコメディのネタとし、ほのぼのとしたムードへと転換。シリアスを芯に残しながらも、微笑ましく読みやすい作品になっています。
テーマのわりに読み応えがない、という言い方も出来るかもしれませんが、重目のテーマをさらりと読ませる好作品だと思います。
2014.11