だって好きなんだもん

(吉住渉/集英社りぼんマスコットコミックス・全2巻)

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Story

紺野望加(もか)は、一途な恋に憧れる高校生。
テレビの美術番組で妻のベラを生涯描き続けたシャガールに感動した望加は、画集を探しに行った図書室で、シャガールの本を手に取る少年・芳井柾人に出会い、一目惚れする。
首尾よく柾人と仲良くなった望加だが、いきなり上級生と彼との修羅場を目撃。
そして「他人の彼女しか好きになれない」という柾人の異常な嗜好を知ってしまう・・・

Impression

これまで当サイトでは「ミントな僕ら」「ウルトラマニアック」と、ポップなコメディテイストの吉住作品を紹介して来たんですが、当作品はそれらとは一線を画し、吉住作品のもうひとつのメインラインである恋愛ドラマの系譜に連なる作品と言えるでしょう。
吉住作品の特徴である展開の早さはこの作品でも遺憾なく発揮され、ヒロインに視点を置いた読者を翻弄するかのように、次から次へと新しい人間関係が提示されるストーリーは実にスリリング。
コメディ要素は薄く、まさに「コミカル」な魅力をもった「ミント−」「ウルトラ−」のイメージとは対照的に、コミックよりもドラマを意識したような雰囲気が感じられます。
ファッション誌のグラビアを意識したような扉絵、テンポのいいセリフ回し、買い物の行き先が代官山という舞台設定なども、スタイリッシュなドラマとしてのイメージを補強していますね。
雰囲気と展開重視の作品で、コメディ指向の読者にはとっつきにくさも感じられるかもしれませんが、読み出せばその巧みな展開力に引き込まれてしまい、恋愛ドラマの面白さにうなってしまいます。

2005.6