(佐倉おりこ/実業之日本社ジャルダンコミックス・1〜3巻)
高校に入りはしたもののどこの部活に入るか決めていなかったはるかは、お菓子につられるままにゴルフ部の扉を開けてしまう。
ゴルフ経験者の冬姫がいるだけの部員ふたりの弱小部活で、ゲームでしかゴルフをやったことがないはるかはパター、練習場、コースとひとつひとつ経験を重ねていく。
やがてゴルフ部には夏陽も加わり、順調に部員が増えていくが……。
ノベルスレビューで紹介している「四つ子ぐらし」の挿絵を描いている佐倉おりこさんの、こちらはオリジナルのコミックになります。
以前に佐倉さんが同人誌で描いていた作品を商業用にブラッシュアップしてリリースしたもので、キャラクターは1巻からしっかりこなれている一方、ストーリーは初手から丁寧に構築されており、同人版を読んでいる人もそうでない人も楽しめるようになっています。
青年誌やゴルフ誌に掲載されているようなスパルタンなゴルフマンガではなく、あくまでも4人の少女たちを愛でるのがテーマのいわゆる「ゆるふわ系」の作品で、スポーツとしてのゴルフを期待して読むと大いに肩透かしを食うことになりますが、打ちっぱなしのシーンにしてもコースに出た時にしても彼女たちがゴルフをする姿は実に開放的で楽しそうで、ゴルフをする楽しさの一端は確実に表現されていると思います。キャラクターを主眼に描きつつもボールを打つこと、クラブを選ぶこと、コースを回ること、そういうひとつひとつが丁寧に描かれていて、好もしく感じられる作品ですね。、
2021.11