鉄道むすめ

(MATSUDA98・明科実祐・トミーテック/アスキー・メディアワークス電撃コミックス)

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Story

千葉・銚子電鉄、岩手・三陸鉄道、広島・広島電鉄。
それぞれの地域に根ざしたローカル私鉄を舞台に、そこで働く女の子の多彩な表情とプロ根性、そして地域の人情を描いた連作。

Impression

タイトルそのままの、萌えと鉄道のコラボを狙った作品で、フィギュアのコミックス化という、なかなか特殊ななりたちの作品です。
それだけにキャラクターにしてもシチュエーションにしても、説明的になっている感は否めませんが、キャラの彫り込み、現地の取材はしっかりなされており、単なる萌え狙い作品にとどまらない手応えの感じられる好作品に仕上がっています。
これまでの鉄道系コミックというと、どちらかというと「鉄」の方に比重が傾いているものが多く、あるいは萌え系の作品だけど、やけに鉄道描写が細かい……というレベルにとどまっている作品が殆どだったわけですが、この作品は作画とストーリーが完全に役割分担されていることで、「鉄道」側から入っても、「むすめ」側から入っても納得できるレベルに仕上がっています。
ストーリーはあくまでキャラクターに視点を当て、「プロの仕事」という面からキャラクターの内面を描くことにアプローチ。そこにさらに、それぞれの舞台ならではの地域性を織りまぜることで、深みを与えています。
見た目以上の手応えが感じられる好作品で、ゲームのプロモーションということで1巻完結となってしまっているのが惜しまれます。

2009.5