(高雄右京/メディアワークス電撃コミックスEX・全3巻)
神岸あかりは幼なじみの同級生・藤田浩之が気になって何かと世話を焼いているが、自分の思いはなかなか浩之に伝わらない。しかし、メイドアンドロイドのマルチや、オカルト研究会に所属する不思議な先輩・来栖川芹香らと知り合っていくうちに、浩之のよさをみんな分かってくれるようになる。それは嬉しい反面、ちょっと切ない気分をあかりに味わわせるものだった・・・
同名ゲームのコミック化作品。
ゲーム原作の作品ということで、「まあキャラクターと絵柄中心の軽い作品だろうな」という感じで手に取ったんですが、なかなか構成がよく、楽しめました。
確かにゲームに登場するキャラクター一人一人にスポットを当てて各話を構成していく連作風の作品なんですが、主人公ふたりがそれで霞むことなく、ストーリーの流れがしっかり感じられました。またキャラクターが多いわりには話があちこちに飛ぶ感じもなくて、ほどよく抑えられた感じがするところも好感のポイントでした。
あかりのなかなか形に出来ない想いというのがうまく表現されていて入り込みやすい感じでしたし、また浩之の造形も作者が「惚れられて当然」のキャラクターを目指したと言うだけあって、しっかりした手応えが感じられました。
ゲームをコミック化した作品ですが、ストーリーはオリジナルとのこと。ゲームをプレーした方でも、単発の作品として楽しみたい方でもしっかり楽しめると思います。
2000.5