しあわせ鳥見んぐ

(わらびもちきなこ/芳文社まんがタイムKRコミックス・1巻〜)

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Story

みちのく芸術大学に通う2年生、宮内すずは絵に行き詰まりを感じ悩んでいた。課題の講評で「君の作品には色がない」と酷評を受けてしまったのだ。
その迷いを抱えたまま訪れた公園で、すずはスズメを観察する少女、時庭翼と知り合う。翼の導きでさまざまな野鳥と出会い、そして「空飛ぶ宝石」カワセミにインスピレーションを受けたすずはひと皮むけた、色鮮やかな作品を仕上げると同時に、魅力的な鳥たちの世界へと足を踏み入れるのだった。

Impression

わらびもちきなこさんは前作「佐藤さんはPJK」でワンアイディアを生かした明るくてちょっと不思議な学園コメディを描いていたのですが、新作は明朗な雰囲気はそのままに、しかし設定は思いっ切り地に足の着いたホビーコミックをリリースしてきました。
舞台は山形、主人公はどこにでもいるような女子大生、テーマはバードウォッチングで、紹介される鳥もスズメやカラスを筆頭にシジュウカラ、ツグミなどどこまでも地味。しかしその地味な鳥たちの生態をヒロイン・翼が紹介し、そこにもうひとりのヒロイン・すずが独特の言語センスでポイントを紹介することでスポットライトを当てて日常に鮮やかな色どりを与えてくれるところがなんとも見事です。
何気なく見ていた鳥の名を知り、生態を知ることで「日常」が奥深く広がっていく、というのはたとえば他にも草花や街路樹だったり、星や雲だったり、あるいはクルマやファッションについてだったりにも通じることで、なかなか世界を広げることがままならない昨今、「地元」「日常」を見直すいいきっかけになりそうな好著です。

2021.11