(CLAMP/講談社コミックスマガジン・全28巻)
玖楼国の姫君・さくらと考古学者の小狼は、身分違いながら運命で結ばれたふたり。
しかしさくらは発掘現場で変動に巻き込まれ、意識を失ってしまう。
神官・雪兎の力で「次元の魔女」侑子の許を訪れた小狼は、さくらが意識を取り戻しても小狼との記憶は戻らないという代償を受け入れ、さくらが失った記憶の翼を取り戻すために、異世界からやって来たふたりの青年とともに、時空を渡る旅を始める。
ヒット作「カードキャプターさくら」を土台にした作品ということでも話題になっている、ヒットメーカー・CLAMPさんの作品です。
他にも同一作者の他作品に出て来たキャラクターがパラレル世界の住人として次から次へと登場しており、良くも悪くもけれん味とあざとさを感じさせる作品になっています。
とはいえ、こういった小細工だけでテンションを保つキッチュな作品、というわけではなく、スピード感とキャラクターに支えられた、少年系ファンタジーアドベンチャーとして、十分な魅力を持っています。
もともとファンタジーはCLAMPさんの得意分野、濃いめのキャラクターづくりもお家芸と言えるもので、CLAMP作品としてはむしろオーソドックスで手堅い作品と言えるでしょう。
その手堅さの上に、コアなファンを楽しませる要素を織りまぜ、多様な読者それぞれの欲求を満たす、興味深い作品です。
2003.8