(稲井カオル/白泉社花とゆめコミックス・全3巻)
はなマート緑丘モールのドラッグストア「ドラッグわかば」で苦情を一身に集める金髪強面高校生店員・片野と、その片野をクールにそつなくあしらう黒髪ショートカット女子校生店員・宇多川。
ふたりの距離はそれなりに接近しつつも、ドラマティックで胸を焦がすような恋に発展することもなく、だけで気軽で楽しく無駄口をたたくだけの、平凡な日常がただ綴られていく。
青春に憧れている方には残念な、だけど青春を通り過ぎた方にはちょっと甘酸っぱくもくすりと笑えるローテンションラブコメ。
カテゴリとしてはラブコメ少女マンガということになるのでしょうが、高校生のなんともお気楽でさらりとしたムードと、漫才じみたかけあいが印象に残る作品で、少女マンガ的な要素が前面に出てこない、ニュートラルなコメディになっています。
基本的には宇多川さんに思いを寄せる片野くんが空回りし、宇多川さんにバッサリ斬られるパターンの繰り返し。しかし、ショッピングモールの日常や、青春の悩みを巧みに切り返してくるセリフ回しが達者でワンパターンに感じられることはなく、飽きが来ません。
誰もが覚えのある青春の日常を巧みにコメディに仕立ててくるわざは達者のひとこと。全3巻のヴォリュームも手に取りやすく、手軽にお勧めできるコメディです。
2019.2