入浴ヤンキース

(奥嶋ひろまさ/双葉社アクションコミックス・1〜2巻)

ハイテンションモードへ

Story

近ごろ噂のヤンキーコンビ「タイガー&ドラゴン」、松井竜哉と黒田大河はケンカに明け暮れる最強コンビ。
そんな彼らの強さには秘密があった。
それは銭湯。
彼らは銭湯でケンカの汗を流し、熱い銭湯で身体を仕上げて「銭湯態勢」を整える、銭湯ヤンキーだったのだ。
ケンカ相手と戦闘を探して東京を駆け回る彼らの活躍と、魅惑の銭湯の数々を描いたアヴァンギャルドでどこかほのぼのとしたヤンキーマンガのニューウェーヴ。

Impression

タイトル通り、ヤンキーが銭湯に行って入浴するだけというなんとも評価に困るマンガです。
ケンカをしては銭湯に行き、銭湯から出てはケンカをし、というワンパターンの繰り返しみたいなマンガなんですが、ケンカのシーンは銭湯への興趣を殺がない程度にコンパクトにまとめられながらもスピード感と痛快感があって楽しめますし、銭湯紹介は見る者を唖然とするほどにボキャブラリー豊富なヤンキー用語で銭湯の魅力をハイテンションに紹介し、読者に新しい地平を提示しています。
全体を通して王道を外れずてきぱきと展開していくので、イロモノでありながらスムースに楽しめるのが大きな美点。
私はたまに日帰り温泉やスーパー銭湯に行く程度のライトな銭湯ユーザーでしかありませんし、東京在住でもないんですが、このマンガを見ていると「銭湯、行きたいな」と思わされるんですから、この作品の狙いは成功していると思われます。

2021.7