ヨコハマ買い出し紀行

(芦奈野ひとし/講談社コミックスアフタヌーン・全14巻)

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story

近未来。
海面の上昇により住処を追われた人間たちの生活は、いくつもの時代を逆上ったような懐かしさのある「夕凪の時代」で繰り広げられていた。
岬の突端にある喫茶店「アルファ」の店をひとりで切り盛りするのは、アンドロイドのアルファ。
彼女の周囲では、楽しくも懐かしく、切ない人々によってドラマにならないようなドラマが流れていく。

impression

うーん・・・言葉で説明するのが難しい作品ですねえ。
個人的にはこの舞台設定、アニメ「未来少年コナン」や、椎名誠さんの小説「水域」を思い出しました。内藤泰弘さんの「TRIGUN」も近いものがあるかな。こういう世界観はけっこう好きなんですよね。
その舞台設定の中に、暖かな雰囲気を持つアンドロイドのアルファさんを放り込んだことでこの作品は前述の作品にはないような、ふんわりとした前向きの雰囲気をつくりだしています。前向きなエピソードというのは実は少ないんですが。
作品の内容的には極めて薄味。青年誌としてはけっこう異色だと思います。ふつうだったら物語の導入部とするようなエピソードを全編に持って来て、結論は読者に任せるような部分がありますね。設定に関する説明も少なく、作品世界の中に読者をほっぽりだしてしまうような不安定さがあります。
しかしそれがまた、他の饒舌な作品にはない魅力になっており、むしろ作品世界に身も心も飛び込めるような、そんな感じに仕上がっています。

  1999.11